アメリカ合衆国を代表するモーターサイクル・カンパニーHarley-Davidsonは
過去US ARMYが正式採用した軍用車を製造していたのをご存知だろうか。
1903年の創業以来、質実剛健なプロダクトを標榜してきたH-Dだが
その品質が呼び水となり第二時大戦以前の1940年代初頭より
ガバメントの要請で軍用バイクを製造した。
蛇足だが、軍需が高まり国内中の物質が不足した1943〜45年にかけてのH-Dは
製造能力/マテリアルのほぼ全てを軍用モデルに投入したため
同期間の民間向けのシビリアンモデルの製造数は極めて少ない。
排気量750ccを誇るフラットヘッド機構のエンジンを搭載する
H-DのアーミーモデルWLAは、Olive Drabと呼ばれる軍用色で塗装され
シビリアンモデルのWLと差別化された。WLAの末尾AはAMRYを示すものだ。
車体に取り付けられたホルスターは言わずもがなマシンガンを装備する
軍用車ならではのディテール。土嚢製作のための携帯スコップなどもしかり。
操作方法はフットクラッチ/ハンドシフトで、これは40年代までの全てのH-D共通の作法だ。
かくしてWLAは陸軍兵士と共に世界中の戦地の最前線に送り込まれた。
H-D史を語る上で欠かすことのできないWLAは朝鮮戦争でも活躍
のべ9万台以上が製造されたと言われるが
戦地ではより運輸能力の高い4輪車JEEPにその座を譲った。
戦地に派遣された兵士が集う前線キャンプなど
軍内部の交通整理や秩序維持を任務とする
MP=Military Policeと呼ばれた憲兵たちも
H-Dの軍用車WLAと共に厳しい任務をこなした。
2017年にデビューしたWHITE’S BOOTSのアップカマー
MILITARY POLICE SERVICE BOOTは、
MPたちが愛用したタフなサービスシューズをモチーフに
最上のマテリアルを専用設計のBarrie Dress Lastを用いて
クラシカルかつジェントルな佇まいへフィニッシュした新作だ。
ワイズからつま先へシェイプされる独自のシルエットは
“Dressy”と形容してもいいだろう。
参考までに、WHITE’Sならではの履き心地を生む“Arch Ease”はこのモデルでは
採用せず、これによりニュートラルな履き心地となっている。
カジュアルもドレスアップも決まるWHITE’Sの新機軸。
実に興味深い1足だ。